インデックス投資をするにあたって、個人投資家が考えなければならないこと3つ(リスク、コスト、税金)を述べます。逆に、考えなくてよいこと(リターン、売買の最適なタイミング、暴落)についても述べます。
普通のサラリーマンである私が、 これから投資を始める、始めたばかりの方に向けて、自分なりの勉強と経験を通してたどり着いた投資方針を提示しています。お役に立てれば幸いです。
インデックス投資の本質
そもそも、インデックス投資をするということはどういうことでしょうか。なぜインデックス投資をするとお金が増えるのでしょうか。一般的には、投資でお金が増えるのは以下の2つのためと言われています。
- 経済成長:資本主義は富が自己増殖する仕組みである
- リスクプレミアム:リスクを取ることが利益の源泉となる
つまり、インデックス投資では市場全体に投資することで「経済成長+リスクプレミアム」を得ることを期待します。逆に言うと、それ以上のリターンは期待できないわけですが、それで十分という考えです。この考えに基づいて、効率よく投資の努力を行うためには、何をしたら良いでしょうか。
投資家ができることは限られている
当たり前のことですが、誰にも未来はわかりません。つまり、株式投資においても、成功するか失敗するかは不確定です。そのような中で投資家はどう行動すべきでしょうか。
ひとつの答えとしては、投資家が「自分でコントロールできることのみに注力する」ということです。つまり、自分でコントロール出来ないものについては、考えたり予想したりするのをやめて、報われる可能性の高いことのみに時間を注ぐということです。
悪く言えば思考停止ということになりますが、私は自分の意志を排除するというのがインデックス投資を長く続けるコツなのかなと考えています。
コントロールできること
インデックス投資において、コントロールできることは以下の3つです。この3つをしっかりと抑えておきましょう。
- リスク
- コスト
- 税金
リスク
この中で最も重量なものがリスクです。投資はお金を増やすために行うものですが、リターンよりも先にリスクを考える必要があります。
なぜなら、想定以上の損失が出た場合に投資を続けることが難しくなるからです。
自分のリスク許容度を知る
リスク許容度とは、どこまでお金が減っても耐えられるかということです。この範囲内でリスクを調整します。
リスク許容度を決めるにあたって、2つの考え方をご紹介します。
心理的に耐えられる限界の金額
損しても心理的に生活に支障が出ない、気にならない金額のことです。具体的な金額でも良いですし、1年間に貯金できる金額でも良いです。
将来的に債務超過にならない金額
一生使わないお金、つまり現在の資産と「将来自分が稼ぐ金額」から「将来使う金額」を引いた「余りの金額」までは損しても問題ないという考え方です。将来のライフプランがある程度予想できる、公務員のような収入が安定している方に向いていると思います。
ポートフォリオを決める
自分のリスク許容度を決めたら、その範囲内で最も効率の良い資産に投資します。資産を広く分散することで、期待リターンを下げずにリスクを下げることができます。
ポイントは以下の3つです。
- 十分に分散する
- 値動きの異なる複数の資産に分散する
- 無リスク資産でリスクを調整する
ポートフォリオは無数に考えられますが、ここでは以下の3パターンを提示します。
①全世界株式+日本国債
リスク資産を全世界の株式に広く分散した投資信託のみとし、無リスク資産の日本国債と組み合わせるものです。
書籍「お金は寝かせて増やしなさい」の著者である水瀬ケンイチさんや、経済評論家の山崎元さんが推奨しています。
②プロのポートフォリオを真似する
国民年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオやロボアドバイザーのポートフォリオ真似するのもいいでしょう。GPIFのポートフォリオは、年金の運用なだけあって、プロが考えた低リスクで堅実なものです。
WealthNaviのポートフォリオも理論に沿ってシンプルな構成ですので、おすすめです。
③自分で効率的ポートフォリオを求める
詳しい方は、自分で良いポートフォリオを決めるのが良いと思います。
ポートフォリオを決めるときに使えるツール
ポートフォリオを決めるときに便利なツールを紹介します。資産配分を入力することで、そのリスクと期待リターンを求めることができます。
- myINDEXの資産配分ツール(要無料登録)
リバランス
運用しているうちに、上記の配分がずれてリスクが変わるため、定期的に配分を戻します。
コスト
なるべくコストの安い商品を選びましょう。投資においてリターンは保証されませんが、コストは確実にリターンを圧縮します。
どれにしようか迷う場合は、つみたてNISAに採用されている投資信託であれば、問題ないでしょう。2019年時点でのおすすめ投資信託は、eMAXIS Slimシリーズです。
売買コスト
投資信託の場合は、売買手数料のないもの(ノーロード)を選びましょう。
ETF(上場投資信託)の場合は、手数料の低い証券会社で購入しましょう。
維持コスト
投資信託、ETFの保有時にかかる手数料(信託報酬)が少ないものを選びましょう。
税金
確定拠出年金(iDeCo)やNISAなどの税制優遇制度を使いましょう。
また、必要に応じて確定申告をしましょう。損失が出ていた場合は翌年に繰り越せます。
税制は毎年のように変わりますので要チェックです。
コントロールできないこと
以下はコントロールできないので、少なくとも初心者のうちは考えないでもよいと思います。
- リターン
- 売買の最適なタイミング
- 暴落・バブル
リターン
値動きは自分でコントロールできないので、毎日チェック不要です。始めたばかりで、元本付近を動くと気になりますが、どうしても値動きが気になる場合は心理的なリスク許容度を超えている可能性が高いので、投資金額を減らすことを検討したほうが良いと思います。
売買の最適なタイミング
インデックス投資では、安いタイミングで買い、高いタイミングで売るといったことは考慮不要です。
もちろん、そのようなタイミングで売買ができれば最高ですが、そのようなことができるのであれば、相当な上級者であり、インデックス投資ではなく、別のやり方でも投資したほうが良いと思います。
積立か一括か
リスクを把握できている場合、投資できる金額を一括で投資しても問題ありません。ただし、一定金額を積み立てていく方法のほうが心理的な気休めになります。
一括投資のほうが理論的にはリターンが高いですが、一括にするか積立にするかはは自分の心の図太さに応じて決めましょう。
積み立てる場合は、ネット証券で自動積立し、自分でタイミングを判断をしないようにするのがおすすめです。
私は心が細いので積立でいく方針です。
暴落
平均的な投資家にとって、暴落やバブルというのは、終わったあとに気づくものです。暴落時に買い、バブル時に売ることができれば素晴らしいですが、それを実践できれば優秀な投資家です。
暴落は避けられないもとの受け入れ、それでもどうしても心配であれば、起きても問題ない範囲に投資金額を抑えたほうが良いと思います。
まとめ
インデックス投資において、投資家が考える必要のあるものを提示し、その概要を述べました。まとめると以下のようになります。
- 投資はリスク許容度の範囲内で行う
- 低コストの投資信託・ETFを選ぶ
- 税制優遇制度をうまく使う
また、考える必要のないことについても述べました。
- 日々の値動きは気にしない
- 売買のタイミングは気にしない
- 暴落を受け入れる
最後に、投資は自己責任です。
現在、インデックス投資については、色々な書籍、セミナー、インターネットで十分な情報が手に入る環境にあります。しかし、最終的には自分で考え、自分で決める必要があります。
他人任せだと、責任を人に転嫁し、途中でやめてしまうことになるかもしれません。
焦らずにコツコツと長く続けるためには、自分で悩んで、勉強して、というプロセス自体が大きな資産となると思います。
この記事が、そのようなインデックス投資について、悩んでいる方の少しでも手助けになれば幸いです。 良い一日を。