個人のインデックス投資家によるインデックス投資家のためのお祭りであるインデックス投資家ナイトに参加させていただきました。リアルイベントの開催としては、コロナ発生以来4年ぶりとなります。マイルドインベスターは4年ぶり2回目の参加となりました。面白いお話も聞けたのもあり、せっかくなので感想を述べておこうと思います。
0次会(オフ会)の感想
インデックス投資ナイトが始まる前に、0次会と称してインデックス投資ナイトに参加される方たちとオフ会をしてきました。ブロガーの「のり」さんの主催で私を入れて6名で昼間から居酒屋で乾杯。
私自身はコロナ以降は、ブログもツイッターもあまりやっておらず、繋がりが減っているのですが、またこうして新しい方と知り合えたり、対面でしか聞けない内緒話や投資の失敗談などもお互いに暴露したりできて、面白いオフ会となりました。
インデックス投資ナイト 本編の感想
オフ会後に会場の東京カルチャーカルチャーに移動し、5人がけのテーブルに着席して、イベントが始まる前に、同席した方へ自己紹介がてら名刺をお渡したり、軽く話しました。5人中3人はブログもツイッターもやっていないとのことで、主催者のブログをみて参加したとのことでした。インデックス投資の裾野の広がりを感じますね。リアル会場はおそらくキャパシティ200人くらいで、満席でした。
第一部(30分) 投資家座談会「インデックス投資家さん、いらっしゃい!」
個人投資家3名のそれぞれの投資スタイルについて、インタビュー形式での座談会。
意外にもコツコツ地道に積立するというおとなしい(?)投資スタイルなのは「ずずず」さん1名だけで、他の2名の方は、インデックス投資以外にも太陽光発電など色々な投資をしていたり、全資産の97%を投資信託にフルインベストメントしていたり、お金をより多く増やしたいという鼻息の荒い話が多かった印象です。
第二部(20分) 勉強会:おしえて金融庁さん!「新しいNISA」
つみたてNISAの仕掛け人である金融庁の今井さんから、2024年から始まる「新しいNISA」についての裏話を聞かせていただきました。
- 「新しいNISA」の正式名称は「NISA」。名前を1本化する。
- 「NISA」のブランド化が課題。イギリスの非課税制度ISAのように国民が安心して使ってもらえるようにイメージアップをしていきたい。
- 「新しいNISA」は実は「つみたてNISA」が始まった直後の2018年から検討していた。コードネームはスター・ウォーズの「デス・スター」。
- 投資金額1800万円は金融庁提示ではなく、政治的に決まった。
- 簿価方式での管理は世界的にも初の試み。システムエンジニアに実現性(システム変更のコスト)を見てもらい、そこまでコストがかからずできるとのことがわかった。
第三部(60分) パネルディスカッション:徹底討論!インフレ時代の資産運用
インフレ時代の資産運用について、司会カン・チュンドさん、イボットソンの小松原宰明さん、Bogleheadsの金野真弓さん、ブロガーのセロンさんが討論されていました。
- 株式と定期預金の組み合わせで楽にそこそこいいポートフォリオが組める。REITなども加えて9資産で効率的な運用を目指すのもいいが、株式と定期預金だけで運用するとシンプル。
- インフレにはいいインフレと悪いインフレがある。経済の好循環によるいいインフレ(インフレ率4~8%)では株式が優位。スタグフレーションによる悪いインフレでは(インフレ率8%以上)株式は下がる。不動産は比較的悪いインフレ下で優位。
- 長期的には、株式にはインフレ率や金利を加味したリスク・プレミアムが期待できる。インフレだからといって株式が長期的に不利ということにはならない。
- インフレだからといってわざわざゴールド(金)を組み込む必要なし。ゴールドは期待で値段が動くだけ。
- 為替ヘッジは現在のように日米の短期金利差が大きい(2023年7月時点で5%くらいある!)ときにするのは、そのヘッジコストに見合ったメリットがなさそう。金利差が小さいときにはヘッジコストが小さいので為替ヘッジをかけておくのはあり。
- ボーグルの教え「航路を守れ(Stay the course)」を実践すべし。
アディショナルタイム(10分) インデックス投資家の皆さんへのメッセージ
がんで闘病中の山崎元さんからのメッセージ。痩せて声も変わっていましたが、インデックス投資家へ向けて力強いメッセージを頂きました。
- インデックス投資家は最も洗練された投資家。それをしている皆さんは誇りを持って良い。楽天証券に勤めているとき楽天証券主催のセミナーには呼ばれなくなったが、毎年インデックス投資ナイトには呼ばれていることを誇りに思っているとのこと。
- 投資は自分の頭でしっかり考えて判断すること。ドル・コスト平均法と一括投資どちらがよいか、米国株インデックスと全世界株インデックスのどちらがよいかなどの問題は、頭で論理的に考えれば正しい答えが出る。
- 少ないサンプルデータ(N=1)の結果に惑わされないこと。20~30年間の投資結果は長期投資にとっては1つのサンプルデータにすぎない。ウォーレン・バフェットは良い投資家だと思うが、それでさえサンプル数は3つ(N=3)くらいといえる。その期間にうまくいった手法だからといって、必ずしも良い方法だとは限らない。
- インフレだからといって投資方法を変える必要はない。証券会社のマーケティングに乗らないようにすること。
また、ご自身のがんの闘病おいては、予想と希望を分けて考えることが大切だとのことです。山崎元さんは、ステージ3の食道がんで手術や薬物治療されていると公表がありましたが、今回、それとなくステージ4でがんが転移されている、平均余命が1~2年間であることを匂わせていました。元気に復活されることを願っています。
デス・スター「新しいNISA」が何を破壊するのか
金融庁の今井さんが「新しいNISA」をスター・ウォーズのデス・スターと命名してプロジェクトを進めていたことについて、なぜその名前なのか勝手に考察してみます。
スター・ウォーズを見たことのある方は御存知の通り、デス・スターは、惑星を一撃で破壊することが可能なスーパーレーザー砲です。スター・ウォーズの悪役である帝国軍の最終兵器で、主人公のルーク・スカイウォーカーたちレジスタンス軍の脅威となっています。
今井さんが「新しいNISA」をデス・スターに例えたのは、何かを破壊するという意志が込められていたと思います。個人的には、この破壊したいものは一般NISAで問題点となっていた、手数料の高い金融商品の回転売買のことかと思いました。
「新しいNISA」の成長投資枠に惑わされるな
「新しいNISA」では、つみたてNISAと同じ商品が買える積立投資枠の他に、ある程度広く商品を選択できる成長投資枠が設けられました。(成長投資枠は証券業界の思惑によって設けられたと噂されています。真偽不明)
証券業界の企業としては、個人投資家に低コストのインデックスファンドだけ買われると、ほとんど儲かりません。ただし、成長投資枠では短期の投機(トレード)に利用したり、回転売買ができる余地がむしろ一般NISAよりも拡大しています。金融庁にはNISAをブランド化したいという思いがあったとのことですが、この成長投資枠があることによって、資産運用として好ましくない悪いイメージにつながる使い方をされてしまう懸念が残っていると感じました。
普通の人が普通に投資としてNISAを利用していくためには、成長投資枠もインデックスファンドをバイ・アンド・ホールドしていくのがよいかと思います。
インデックス投資ナイト 2次会での個人投資家との交流
イベント終了後の2次会では、引き続き同じ会場で席を移動しながら色々な方にご挨拶に伺いました。
過去にZoomで話したことはあるけれども、リアルでは会ったことはない方にも出会えて、お互い顔を覚えられたので、親しみがわいたと思います。また、余談ですが、ある方には「お前のこと知っているけどツイートはマイルドじゃない(とげがある?)」とも言われました笑。
会場でお会いできた方、挨拶しそこねた方、初めましての方、皆様お疲れ様でした。ぜひ今後Twitterなどで交流していただければと思います。