全世界株式と米国株式のどっちがいい?両方を買うことのデメリット

投資・資産運用
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つみたてNISAなどで購入できるインデックスファンドの人気が日本で高まっています。特に人気があるのが、全世界株式インデックスファンドと米国株式インデックスファンドです。両方ともいい点があり、投資初心者はどっちを買うか迷う方もいるかと思います。一方で、全世界株式インデックスファンドと米国株式インデックスファンドの両方を買うことは、分散投資の観点からはほぼ意味がないと言わざるを得ません。以下では、その理由とともに、なぜ投資初心者がこのような両方のインデックスファンドを買ってしまうという間違いを犯しやすいのか、そして正しい投資信託の選び方について詳しく説明します。

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インデックスファンドの種類

インデックスファンドとは、ある指数に連動するように運用される投資信託のことです。例えば、日経平均株価やS&P500などの指数に連動するインデックスファンドがあります。

全世界株式インデックスファンドとは、全世界の株式市場に分散投資することができるインデックスに連動した運用を目指す投資信託です。代表的なインデックスには、MSCIオールカントリーワールド・インデックス(ACWI)やFTSEグローバルオールキャップ・インデックス(GACI)などがあります。

米国株式インデックスファンドとは、米国の株式市場に投資することができるインデックスに連動した運用を目指す投資信託です。代表的なインデックスには、S&P500やCRSP USトータル・マーケット・インデックスなどがあります。

なぜ全世界株式と米国株式の両方を買うことに意味がないのか

全世界株式インデックスファンドと米国株式インデックスファンドを両方買うことにはどんなメリットやデメリットがあるでしょうか?

全世界株式と米国株式を両方買っても分散効果がない

まずメリットですが、一見するとより幅広く分散投資できるように思えます。しかし、実際にはそうではありません。分散投資の目的は、投資ポートフォリオのリスクを低減することです。ただし、米国株式が全世界株式市場の半分以上を占めています。例えば、MSCI ACWIでは米国の比率が約58% であり、FTSE GACIでは小型株も含めていますが 米国比率は約54%でほぼ同様です。そのため、全世界株式と米国株式の両方を買うことによって、十分な分散効果を得ることはできません。したがって、両方を買うことによってリスクが低減されるわけではありません。

リバランスの手間が増える

それでは次にデメリットですが 、米国株式インデックスファンドと全世界株式インデックスファンドの両方に投資する場合、その資産配分を維持するのは手間のかかるリバランスが必要です。本当に少し米国株式が多めの全世界株式に投資したいのだとしても、投資初心者にとっては、手続きの煩雑さや手間が負担になることがあります。

なぜ投資初心者は全世界株式と米国株式の両方を買ってしまうのか

さて、なぜ投資初心者は全世界株式と米国株式の両方を買ってしまうのでしょうか。

投資初心者は人の意見の影響を強く受ける

考えられる理由の一つは、SNSやYoutuberなどのインフルエンサーが米国株式インデックスファンドをおすすめすることが多いためです。米国株式市場は世界最大の市場であり、多くの投資家がその魅力に引き込まれます。リーマン・ショック以降の10年間以上米国株式のリターンが高かったことにより、米国株式をおすすめするネットの意見もあります。その意見により強く影響を受けた投資初心者もいるでしょう。

ところが、一方で、米国株式に限らず全世界株式市場に広く分散投資することが重要だと主張するインフルエンサーもいます。この10年間米国株式のリターンが高かったのは結果論であり、未来はどうなるかわからないので、広く分散投資したほうがよいという主張です。これは、最適な資産配分の研究成果である現代ポートフォリオ理論を根拠としています。

いいとこ取りをしたつもりの問題点

全世界株式と米国株式を両方持つことで、両方のインフルエンサーの主張の良いところを取り入れたつもりになる投資初心者がいます。両者のインフルエンサーの共通する主張として、手数料が低い分散投資信託を購入することが推奨されており、低コストの全世界株式や米国株式を選ぶことは悪いことではありません。しかし、自分が何に投資しているのかを理解していないことが最大の問題です。

開き直る投資初心者のリスク

一部の投資初心者は、自分が全世界株式と米国株式を両方持つことについて開き直っている場合があります。彼らは、「何が悪いのかわからない」と主張し、自分自身がどちらにも投資していることを正当化するような発言をします。また、「何も知らなくてもインデックス投資はちゃんとできる」という誤った認識に基づいて、彼らは一部のネットの意見に流され続けることがあります。

しかし、投資初心者が学ぶことを怠ると、誤った金融商品を購入するリスクがあります。投資初心者は、自分自身がどのような資産配分で投資をしているのか、どの程度リスクがあるかを理解して、購入する投資信託と投資金額を決めることが重要です。

適切な投資信託の選び方

前述のように、投資初心者が全世界株式インデックスファンドと米国株式インデックスファンドの両方を購入することによるリスクについて説明しました。しかし、適切な投資信託の選択方法を知っていれば、安定した資産形成が可能となります。以下では、適切な投資信託の選択方法について詳しく説明します。

1. 資産配分の決定

資産配分とは、投資対象の資産を何にどの程度分配するかを決めることです。資産配分は、リスクに対する適正な回避や収益の最大化を図るために非常に重要です。株式に投資する場合、どの国にどの割合で投資をするかの資産配分を決めます。

2. 最大損失金額を踏まえた投資金額の決定

投資においては、損失を被る可能性が常に存在します。したがって、最大損失金額を事前に見極めて、それを超えない程度の金額で投資することが重要です。投資商品によってリスクが異なるため、最大損失金額も変わってきます。例えば、株式には大幅な値下がりの可能性があるため、最大損失金額をより低く設定する必要があります。

株式インデックスファンドに投資する場合、最大半分以下になることを想定して、それでも売らずに生活できる金額を投資しましょう。

3. 購入する投資信託の商品の決定

最後に、資産配分を考慮して、購入する投資信託の商品を決めます。インデックスファンドを選ぶ際は、どの指数に連動しているのか、販売手数料や信託報酬などの管理手数料がどれくらいかかるのかを把握することが重要です。投資信託の手数料が高いと、投資の利益が損なわれる可能性があります。手数料が低い投資信託を選ぶことが、長期的な投資には有利となります。基本的には、販売手数料がなく、信託報酬手数料が低いものを選びましょう。

迷うなら全世界株式

今後も長く米国株式のリターンが高いというのを信じられるのであれば、米国株式をおすすめします。ただし、特に米国だけを信じているわけではない場合は、現代ポートフォリオ理論にもとづいて、全世界に広く分散投資するのがよいでしょう。いずれにせよ、米国株式の割合が高いため、現時点では大きな差はありませんが、迷っているのであれば、投資初心者には全世界株式インデックスファンドをおすすめします。

まとめ

投資初心者であれば、まずはリスク分散を考えた資産配分を決め、最大損失金額を見極めて、手数料の低い商品を選ぶようにしましょう。投資初心者は、ネット上のインフルエンサーが主張する投資信託をただ買うのではなく、最初に資産配分を決めて、その後に商品を選ぶという適切なステップで投資信託を選ぶことが大切です。

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